『平面への適応』
片麻痺者は、運動麻痺や感覚障害による不安定感から、臥位姿勢で身体の緊張が高まり、ベッドに押し付けたり身体が捻じれることがあります。これにより、寝返りや起き上がりといった基本動作も困難になります。

片麻痺者は環境に対する適応がうまくいかず、特に支持面との適応関係が作れないことで不安感や恐怖心が生じ、過剰な力みを生む傾向があります。視覚情報と体性感覚を通じて支持面との適応を促し、重力との相互関係を正常に認識することが重要です。

視覚的変化を通じた平面の知覚は、姿勢・運動コントロールと密接に関わっており、早期から適切な支援を行うことで、環境への適応力を高めることが求められます。

『移動空間への適応』
片麻痺者は移動中に身体の緊張が高まり、視覚情報の取り込みが難しくなるため、空間や構造物に対して身体をうまく調整できず、非効率な移動動作に陥りやすくなります。室内環境においては、壁や家具、高低差が運動コントロールに視覚的な影響を与えます。

移動空間への適応では、視空間知覚と姿勢・運動制御が密接に関連し、支持基底面の安定やリファレンスポイントの確保、前庭系への配慮が重要となります。これらを理解したうえで、視覚情報と身体感覚の協応を促す実技を通じて、より効率的で安全な移動を実現することを目指しています。